東京の1日目最初は、
浅草 清川1丁目の靴工房
“J.S.T.F(JAPAN SHOES TECHNICALL FACTORY)”へ

小売店ではないのでウェルカムな雰囲気ではない。
工房の中は、完成した靴、作りかけの靴、修理された靴、資料、道具、機械などが雑然と置かれているが、通路はちゃんと確保されている(笑)。






橋本さんの作業席・・・座ったままで必要なものはすべて手が届く範囲にある(笑)。
工房で一人黙々と作業しているお弟子さんに声をかけ、主の橋本さんを呼んでもらった。
登場した橋本公宏さんは、歳は私より若干若いが、醸し出す雰囲気は私なんぞよりずっと貫禄がある。
だが決して強面ではなく、よくしゃべり、よく笑い、気さくな人。

笑い方は羽田の橋本さんに似ていると思った。
昔ながらの職人気質で、弟子を抱え育てる親方としての在り方が人間に深みを与えているんだろう。

私も話し好きだから会話が弾み、なかなか本題(靴の注文)に進まない(笑)。
さてオーダー・・・・。
サンプルがないので、工房内に点在している(笑)靴をいろいろとみながら話を進め、注文内容を決めた。
(1)デザインについて
自分が持っていない靴ということで、「シングルモンクストラップ」にした。
工房内にはダブルモンクしかなかったので写真で基本デザインの確認。
(2)アッパーについて
橋本さんは国産レザーを勧める(もちろんインポートも取り扱っている)。
インポートは当たり外れが大きいそうだ。確かにそれは私も感じているところだ。
(この件について自分の意見を書くと長くなるので後日改めて)
それに比べて国産レザーは品質が安定しているし、相互に意見を交換しながら職人が求める革をつくってくれるそうだ。
私もCITTAを通じて国産レザーの良さに気付いているので、濃茶の国産レザーでお願いした。
革選びは橋本さんに任せた。
(3)底付けについて
九分仕立て、マッケイ、セメントの3種類で展開している(しかも良心的な価格)。
今回は経済的な理由を最優先して、マッケイで作ってもらうことにした。
ただ、コバはウェルトシューズの様に張り出してもらう。
(4)その他
仮縫い靴を自宅に送ってもらい、気になるところを微調整する。
くるぶしへのアタリがないように踵周りの高さを調整。
ほとんど普通の靴だが、張り出したコバに1つだけ工夫を施すことにした。
その正体については、出来上った時に。
靴の価格は、製法ごとにそれぞれ基本価格が設定されていて、様々なオプションで価格がプラスされていく。
調子に乗ってあれもこれもと足していくと当然ながら高くなる。
自ずと何を足して何を我慢するかという自分との戦いになっていく。
私はかなり我慢したのではないかと思う(笑)。
さて、採寸には私にとっては初体験の道具(?)を使った。

紙・・・・・・
ひも状の紙を一旦抜いて

両足を乗せる。

足の輪郭をトレース


イモのような足だな(笑)
次はメモリの付いたひも状の紙(メジャー)を装着し、足の周囲を測る。


この道具は紙だが安くて使いやすいそうだ。しかもかさばらない。
土踏まずやボールガースの位置に合わせてメジャーを装着できる。

採寸が無事終わり、再び会話が始まる(笑)。
工房内にある機械の話とか・・・

たとえばこの機械。
踵のつり込みと固定を一気に行う優れもの。
オーダーは手つり込みだが、OEM生産しているレディメイドはこれで対応し、数をこなす。
機械と手仕事をうまく使いこなして工房を切り盛りしているそうだ。
弟子の皆さんの今後の身の振り方を考えていたり・・・・・・
今後の地方へのトランクショー、進出、展開・・・・・
海外にはあまり興味はないが、ニューヨークならへ行って向こうの職人やアーティストたちとコラボしてみたいとも・・・・
昔ながらの職人気質といったが、その一方で、未来について熱く語るところは、常に前進し続ける新しい考えと意欲にあふれている人だと思った。
ビスポークとは「話しながら~」という意味だそうだが、橋本さんへのオーダーまさにそれだ。しかも気取ったところが少しもない。気を使う必要もない。
楽しいビスポークだった。

橋本さん、よろしくお願いしますよ。
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