鹿児島の革工房「Bush clover」を訪問した。
今まで何度か訪問したが、そのほとんどは製品の注文か購入に関わるものだった。
しかし今回は純粋に見学のための訪問。
目的はコレ

オールイタリアンレザーのトランク
シボ革で手触りの良い素晴らしい革。
でも本当に素晴らしいのは、このトランクが総手縫いであること。

超高額なヴィトンでも表装を釘で留めてるのに、こちらは一針一針縫っている。
同じハンドメイドでも手間のかかり方が違うのは、素人でもわかる。

しかも、土台となる木製の箱にも一つ一つ縫い穴を開けた上で革を縫い付けているのだ。
ちなみに土台の箱も手作りで材質は桐。
桐は軽くて丈夫、虫が付きにくいので、昔からタンスや衣装箱に使われてきた。しかも穴を開けやすいという利点もある。
トランクにはうってつけの素材じゃないか?

コーナーパーツも手縫い!
特に中央部の台形の部分は、コーナーパーツの合わせ部分を隠し、補強するためにわざわざ作って縫ったもの。
機能性だけでなく、シンプルな見た目のこのトランクの中で、デザイン的なアクセントにもなっている。

持ち手は革を何層にも重ねた後削り出したパーツを芯材に使っている。
写真の撮り方が下手くそで、左右のバランスが悪そうに見えるが、実物は非常に綺麗な左右対称である。

金属パーツは全て真鍮。黒にゴールドは映える。
このパーツはわざわざ浅草の職人に特注したものである。

内装もシンプルだが・・・

オールスエードレザー!
毛足の短いスエードで、ベルベットのような素晴らしい肌触り。

スエードの下に硬めのクッションが敷いてあるそうで、木材の硬さが内側にダイレクトに届かないようにしてある。

寸法は機内持ち込みができるギリギリの大きさ。
確かに、預け荷物にしたら傷だらけになっちゃうよな。預け荷物を投げるところもあるらしいし。

素晴らしい技術、膨大な手間と時間によって、素晴らしいトランクが出来上がった。
このトランクで職人の萩原さんが自作していないのは金属パーツだけ。
その金属パーツも既製品を使わずに注文している。
当然コストは上がる。それでも妥協はしない。
自分の作品には自分が全て関わる姿勢。
見える部分だけではなく、見えない部分にも一切手を抜かない姿勢。
自分の作品にしっかりと責任をもつ姿勢。
萩原さんにはそんなこだわりがある。
商売下手と言われるかもしれないが、そういうところにも凄く魅力を感じる。
彼の仕事には嘘がない。
インスタに掲載された動画を見ればよくわかる。
自分の仕事に誇りとこだわりと責任をもって取り組む人は応援したい。
「そんなに言うならお前が買えよ!」と言われそうだが、正直買えない(笑)。
※ もちろん財布やキーホルダーなどの小物もあるし、ミシン縫いもできます
こんな形でしか応援できないが、これからも良い作品を作り続けてほしい。

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