靴工房CITTAでインソールを作ってもらっている間、
鹿児島の繁華街をブラブラした。
国道225号線の照国通りと国道3号線の中之平通りに挟まれた地域。
おしゃれなショップが多い。
その日は照国神社でイベントがあったらしく、ものすごい人。
駐車場に空きがない。
車でぐるぐる回っているうちに、
この地域の端、人もまばらな3号線沿いのビルに目が行った。
築ウン十年の古びたビル。
古い建物でもおしゃれなものはあるが、このビルははっきり言ってそういうビルではない。
だが、ウインドウ越しに洋服やバッグが見えて気になった。
ようやく駐車場に車を止めて、その店に行ってみた。
「親和電機ビル」と書いてある。
ビルに入居しているこの店には、どこにも看板がない。
店の名前がわからない。
店の入り口なんて、古い病院のガラスドアみたいだ。
しかし、店内は外とアンバランスなおしゃれな雰囲気。
おいてある商品は・・・・・結構靴が多い。
「ALDEN」、「MOTO」、「ニューバランス」、「ラッセルモカシン」、「REGAL Shoe&Co.」など、自分の好きなシューズが並んでいた。
「REGAL Shoe&Co.」なんて、九州で初めて見た。
バッグも、分厚いキャンバス地とレザーを組み合わせたシンプルなものが多く、自分の好みに合っていた。
そのほか洋服や小物も派手さはないが、存在感と品質の良さが匂ってくるようなものが多かった。
流行にとらわれず、長く使える良質な商品を選んでいる店のようだ。
初めてで名前も知らない店、多少緊張しているところに、
店のスタッフが声をかけてきた。
私の靴を見て、「それどこのブランドですか・・・」

こう聞かれると弱い・・・・というか嬉しい。
「 FOOT-SO-PORT というアメリカの靴です。」
「あっ、聞いたことがありますよ。」
「FOOT-SO-PORT」知っている人はまず間違いなく靴好き。
一気に雰囲気が和む。
靴の話をしながら、
「MOTO」のプレーントゥシューズを試着。
驚くべきことに「MOTO」は1・2・3の3つのサイズしかない。
残念ながらマイサイズがなく、購入することはなかったが、スタッフの対応が非常によかった。
店の商品についても、経験と知識に基づいた適切なアドバイスをしてくれるので気持ちがいい。
※ 店によってはいい加減な知識しか持たない驚くべきスタッフが結構いるのだ。
きれいに仕上げられた靴のレザーソールを「木」と言ったり、
ドブ伏せ縫い(ヒドゥンチャネル仕上げね)でソールの縫い目を隠している靴を、
「この靴は縫って底付けした後にレザーソールを貼っています」などと言ったり・・・・
そして最初に気になったことを聞いてみた。
「なぜ看板がないんですか?」
何かこだわりの答えが返ってくると思ったら、
「移転してきたばかりで、看板が間に合ってないんです」
・・・・・・笑ってしまった。
こういうのも何だかいい感じ。
結局、店の名前も聞かずに出てしまったが、
鹿児島でいい店を見つけたなと嬉しくなった。
家に帰ってから調べたら、
「acoustics addict 」 という店で、移転を機に
「acoustics harvest」 と改名したそうだ。
東京にばかり目が行ってしまっているが、
地方にもいい店があることを実感した日だった。
次に鹿児島に行ったときには必ず訪れるだろう。