
「hand sewn welted boot maker o.e.」
工房の名前から明らかなように、ここはハンドソーンウエルテッドの靴しか作らない。
しかもフルハンド。
注文したのが2008/3/1
完成したのが約3か月後。
もう6年になろうとしている。
インターネットでこの工房の存在を知り、メールで予約をして訪問した。
今は「alte Art」というしゃれた店を開いているが、
当時はまだアパートの1室だった。
靴教室を開いていて、生徒さんたちが靴を作っている横で採寸をしたのを覚えている。
落ち着かなかったが、製甲を担当している女性スタッフの方が九州出身ということで緊張がほぐれた。
革は確かデュプイのサドルレザーという名前だったと思う。
ほとんど染色されておらず、経年変化で色が濃くなるというのが興味深く、これを選んだ。
今ではここまで変化した。

フルハンドなので、アウトソールの底付けも手縫い。
手縫いのラインがものすごくきれいで、まるで機械で縫ったみたい。
個人的にはこれよりきれいな手縫いを見たことがない(あくまで私の見た範囲ということで)。

踵のラインも立体的でとてもきれい。
細部までしっかりと作りこまれていて、仕事が丁寧で破たんがない。
これで当時、価格は75,000円だった。
価格を遥かに超える出来栄えだと思った。
知名度の上がった現在では、納期はかなり遅くなった。
1人で作っているから当然だが、おそらく1年ぐらい待たねばならないのでは?
また、価格も現在は、同じモデルが130,000円だそうである。
物価や材料の高騰もあるのだろうが、ずいぶんと高くなったものだ。
いや、当時が薄利を覚悟で無理をしていたのかもしれない。
ちなみに私の小遣いは結婚してから(22年超)一度も値上がりしていないのだが・・・・。
したがって、今は経済的な理由からこの工房で注文はできない。
今となってはこの靴は私にとって貴重な存在なのである。

