

購入したのは、今や古靴界の第一人者「SUPER8SHOES」。
基本、ネット販売だが、東京の事務所に訪問して購入。
あいにくの雨の中、地図を頼りに無駄な道を歩きながら辿り着いた記憶がある。
このころの私はまだ古靴についての知識がなく、事務所に大量にストックしている靴を見て唖然としたものである。
代表の堀口さんは、そんな古靴初心者の私に非常に丁寧に接客してくれた。
古靴の多い他の店まで紹介してくれたほどである。
帰りは、道のわかる大通りまで雨の中送ってくれた。いい人だ。
いろいろ比べてみて、この靴にしたのだが、あの時、デッドストックの「FOOT-SO-PORT」のVチップを薦められたのを覚えている。
今思えば、なぜ購入しておかなかったのか悔やまれる。
知識が浅く、「FOOT-SO-PORT」を知らなかったからである。
ソールを見ると


ヒールのVクリート(三角形の金具)が外側(コバ)にはめ込まれている。
これは古い個体だったのかもしれない。
※ 年代が新しくなると、このVクリートは少し内側にはめ込まれるそうだ
ただし、打ち込まれた釘が一列というのはあまり見たことがない。
ところが、知識の薄い当時の私は暴挙に出た。

次の日には、都内のリペア店でゴムヒールに替えてしまったのだ。
理由は「滑るから」。
確かにまっとうな意見だし、歩行の際の心配もないのだが、今だったらこんなことはしないだろう。

革は厚みがあって弾力性があり、一見していい革であることが分かった。
堀口さんが言うには、一般的なフローシャイム・インペリアルではこの色はないそうである。
実際、私もこれ以降、ここまで深い色のインペリアルには出会ったことはない。
サイズは10C。
自分の足には少し長く、親指の付け根が若干あたっていた。
当時の私は靴のフィッティングにかなりシビアで、靴に対して高いフィッティングを求めていた。
その結果、履き心地が気になり、オークションで手放してしまった。
今は古靴のフィッティングについてはおおらかになっており(おおらかでないとマイサイズはなかなか見つからない)、シビアなのは新靴に対してだけである。
今思えば、いろいろとバカなことをしたなと思う。
やはり経験が浅いせいである。
しかし、この靴が、古靴のディープな世界にのめり込むきっかけとなった。
この靴をスタートとして、いろいろな失敗を繰り返し、古靴についての知識と経験を積み重ねることができた。
記念すべき1足である。