

革質はいいが、くたびれているので、手入れ開始。まずは定番、グリセリン保湿。
水分を吸い込むと、色がずいぶん濃くなった。
今回は、消毒用アルコール(約80%濃度)と水を8:2の割合で混ぜた液を全体にスプレーした。
カビ対策である。
十分に乾いてから(2日は置いた)、いつもの手入れ。
つま先や踵、コバの色褪せがひどいので、サフィールの焦げ茶クリーム、コバインキを塗り、仕上げた。
ハイ、完成。



革がしなやかで質がいいからクリームを入れて磨くとよく艶が出る。
仕上がったところで、詳細を下の’77と比べた。

まずはライニング


左71 右77
ライニングの革質がまるで違う。77は革質の悪さが一目でわかる。この77は好きなんだが、ライニングには不満。
71のライニングは色が濃い(もともとなのか経年変化なのか)が、しっとりとしていて柔らかい。
両方とも白文字だが、71の方が線が細く繊細な感じ。細かいことだが、「0」の字体は全く違う。
踵の滑り革


77には縫いのラインがあるが、71にはない。
ベロ裏


71はスエードなのかスムースなのかよくわからない。77はスムース。
ただ、71はフカフカしているが77はペッタンコ。
アッパー


71はしっとりとして柔らかい。77は張りがあって輝いている。
どちらも好きなのだが、触った時の質感は明らかに71の方が上である。
’71と’77・・・・・たった6年しか違わないのに、ずいぶん違う。
たった6年の間に、明らかに質の低下がみられる(あくまで比べてみてだが)。
この6年間に、Florsheim は大きな転換期があったのではないだろうか。
大雑把な言い方だが、同じ’70sでも、’71の品質は’60sに近く、’77の品質は’80sに近い、というところか(年代からしてあたりまえだ)。
この6年間の他の個体が比較できれば、さらに転換期を絞り込めるような気がする。