真夏には絶対履けなかったブーツの季節。
ということで、ブーツの紹介。
ただし、「今は手元にない」という形容詞がついてくる。
europeanblendさんの「アメリカ製ブーツ祭り」に触発されたのは間違いない。
ただし、アメリカ製でも、デッドストックでも、古靴でもない。

東京は錦糸町の「安藤製靴」のチャッカブーツ。日本製。
この靴の靴好きの心をくすぐる「売り」は、
① アッパーに「クロムエクセル」を使っていること。
別に流行とかではなく、クロムエクセルが巷でもてはやされる前からこの革の良さに着目し、普通に使っていた。
② ノルウィージャン・ウエルト製法であること。
要するに、ノルウィージャン製法とグッドイヤーウエルト製法のハーフのような製法である。

L字型のウエルトを外からアッパーとインソールに水平に縫い付けている。
そしてウエルトとアウトソール(この靴の場合はミッドソール)を出し縫いで縫いつけている。

この製法だと、インソールはかなり分厚くないと難しいのではないか。
ステッチが二重に現れ、かなりごつい見た目になるのでビジネスシューズには使えない。
だが、靴の横方向のブレを抑えられるので、歩行が安定する。
要するに、悪路の続く登山に有効な靴をつくる製法なのだ。

で、この靴はそれをタウン用に使えるようにしている。
実はこの靴の最大の「売り」は、履き心地。
こんなにごついのに、すごく柔らかい履き心地。
びっくりする。

ライニングにクッションが仕込まれており、包み込むような履き心地。
登山靴のようなソール(ロッチャーソールというそうだ)もなかなか屈曲性がある。
ダナーの日本製のチャッカブーツは以前は(今は知らない)ここの製品だった。
履き心地も素材も非常に素晴らしい。
加えて価格は3万でお釣りが来た。安すぎる。
今は3万円台だが、それでも安いと思う。
もう、コストパフォーマンス高すぎ。
敢えて欠点を挙げれば(敢えてです)、ずんぐりとしていてスタイリッシュではないこと。
この靴にスマートさを求めてはいけない。もともと登山靴がベースなのだから。
こんなに良い靴なのに、私は手放した。
それはこの靴のせいではなく、私自身の問題だ。
この靴をはじめとして、安藤製靴は素晴らしい靴を世に送り出している。
日本の靴の凄さを実感できる。
興味のある人は錦糸町の直営店「ORIGIN」へ。
安藤製靴の靴はここでしか買えないのだ。
しかし、現金払いのみというのも今時珍しい店なのだ。
