旧年中は大変お世話になりました。
本年もどうぞ宜しくお願いいたします。
昨年末にebayで手に入れた「CHURCH'S Limited 125th Anniversary Collection」

CHURCH'S について、特に125周年モデルについてはほとんど何も知らない.
調べてみると、以下のようなことがわかった。
○アッパーはカール・フロイデンベルグのボックスカーフが使われ、色は黒のほかに茶も存在した。
○チャーチがプライドをかけ採算度外視で製作したため,儲かったのはカール・フロイデンベルグだけだった。
○チャーチの創業は1873年なので、1998年頃に生産・発売されたもの(プラダ買収前ということ)。
○ラストは、125という創業当時のラストを復刻したクラシックなフォルムのラスト。
(小窓の125はラストの数字だったのか?そういえば、中敷きのロゴも全く違うものだが、これも昔の復刻なのだろうか?)
この靴の革が素晴らしいことは既に書いた。
出品者はこの靴の革のことを「French Calfskin」と説明していたが、どっちが本当なのだろう?
革をよーく見てみると、特徴が見えてきた。

少し距離を置いてみてみると、普通のスムースレザーに見える。
光沢はギラギラしたものではなく、優しい輝きである。
触ってみるとすごく柔らかくて気持ちがいい。
だが、アップで見てみると、別なものが見えてくる。





画像が小さいのでわかりづらいが、どの部分を見ても、細かなシボが出ているのだ。
シボ革好きを自認しているが全く予期していなかった。
カールフロイデンベルグのボックスカーフとはどのようなものなのだろうか。
名前は知っているが、私はよく分かっていない。
調べると・・・・
【ボックス カーフとは、ネックからバットへ、ベリーからベリーへと2方向にシボをつけたり、薄く型押しをして銀面に格子模様をつけた カーフのことを呼ぶのですが・・・・・(略)・・・・・】
【ボックスカーフの由来と言われる四角形(ボックス)のシボ(凹凸)があるものや、水平に細い線状のシボがあるものが・・・(略)・・・・】
【カールフロイデンベルグのボックスカーフは、数あるボックスカーフの中でも、特に柔軟性が高く、またその風合いに特徴がある・・・・・・(略)・・・・・
普通ボックスカーフはハリ感がある分、靴に使うと履き始めにやや硬さがでます。履きこむ程に足馴染みをしていくことが多いです。
ですが、カール・フロイデンベルグの革は柔軟性が高いために、履き始めから足を包み込むような足当たりのソフトな靴に仕上がるのです。】
要するに、ボックスカーフには細かいシボがある。
※ 細かいシボがなく、つるつるでもボックスカーフと呼ぶタンナーもあるようだが・・・
そしてカールフロイデンベルグのボックスカーフは柔らかい。
この特徴は、確かにこの125周年モデルの革の特徴とも合致する。
自己満足の世界ではあるが、この125周年モデルの革は、カールフロイデンベルグのボックスカーフと考えたい。
細かいシボと柔軟性が、独特の優しい輝きを生んでいるのかな、と勝手に推測している。
カールフロイデンベルグは既に廃業して久しい。
ポーランドのワインハイマーというタンナーが、フロイデンベルグのボックスカーフ製造技術を継承したといわれるが、往年のモノとは違うそうである(品質はいいということだが)。
フロイデンベルグのボックスカーフは、革製品の工房や工場に残る在庫のみということになるんだろう。
環境問題が世界中で注目される中、皮革製造業はかなりやり玉に挙げられているようだ。
また、良質な原皮の減少と高騰で経営的危機に瀕しているタンナーも多い。
世界中で良い革を提供できるタンナーが廃業している。
これから、良質の革は間違いなく減る(すでに質は落ちているのだろう)。
今のうちに、
良質の革で作られた古靴を確保しておくべき ではないか?
と、家族に向かって声を大にして言いたい。