今日、125周年モデル(以下125と呼ぶ)を履き下ろした。
中古の古靴だから履き下ろしたと言うのはおかしいが、気分的には履き下ろし。

革の柔らかさが履き心地に直結していて、とてもフィットしてくる。
包み込まれるような感覚。
サイズも驚くほどぴったり。
左足の中敷きの下には、踵の調整用の革が仕込まれている。
これは、私が既成靴によく施す調整と同じ。
私は左脚の長さが右脚よりも5mmほど短かく、しかもくるぶしの位置が少し低い。
この靴の前の持ち主は、私とほぼ同じ特徴の足と脚なのかもしれない。
この125のレースステイ部は、いわゆるアデレード型と言われるものである。
自分の靴で同じアデレード型と比較してみた。

御存知、ロイドフットウェアの靴で、クロケット&ジョーンズ製。
125と並べてみた。


アデレードというだけで、あとはずいぶん違う。
しかし、共通して見えるレースステイも実はずいぶん違う。


125は、レースステイをアッパー本体に上からかぶせるようにして縫い付けている。
ロイドは、レースステイをアッパー本体に潜り込ませるようにして縫い付けてある。
一般的には、ロイドのタイプが多いので、125のようなアデレード型は珍しい。
どちらかというと、サドルシューズのイメージだ。


そして、125には、内羽根の一番下の糸の閂がない。
一般的な内羽根モデルは、ロイドのようにここに閂があるか、革で補強している。


ライニング。
ロイドのライニングも柔らかでいいが、125のライニングが明らかに革が素晴らしい。


ライニングのかかと部分、いわゆる「滑り革」だが、125は裏革である。
ロイドは表革。ロイドの方が高級感があるように見える。


アッパーの革は、こうやって比べると125の細かいシボがよくわかる。

出し縫い。
ロイドは出し縫いの糸が上から見えないようにしている。
出し縫い糸は、ウエルトの細い溝(うっすらと見える)の中に埋まっているのだ。
チャーチはそういうエレガントさは求めないのだろう。
出し縫い糸は太く、露骨に現れている。

最後にソール。
125の方がヒールがずいぶんでかく見える。
これは、125が360°グッドイヤー製法で、出し縫い糸が靴の外周をぐるりと一周しているからだ。
イメージ的には、アレンエドモンズである。
土踏まずの絞りはどちらも素晴らしいが、125の方がグラマーだ。
ロイドは出し縫い糸を隠しているが、125は出し縫い糸は出たまま。
このような上級モデルでも、チャーチのポリシーは変わらないのか?
チャーチというメーカーは、エドワードグリーンのような靴は求めていないのだろう。
質実剛健、朴訥・・・そんなイメージを感じる。
個人的には大好きである。