このオークションが落札者アリで終了した時点で、私は既に落札された靴を丁寧に梱包していた。
靴の汚れと古いクリームを落とし、レザーソールも拭き上げ、靴クリームを丁寧に塗り込み、布でしっかりと磨き上げて、クッション材とともに箱に詰めたのだった。
あとは、落札者との取引を進めるだけだったのに・・・・・あんなこと になった。
この靴を再出品する準備を進めるにあたり、梱包を解いた。
次の落札まで、この靴を窮屈な箱の中に閉じ込めておくのはいかがなものか、と考えたからだ。
「無駄な時間と労力を費やしたものだ」
と思いながら靴を取り出した。
ふと、履いてみたくなった。
手に入れてから何度か履いたが、その後はあまり出番がなかった靴だ。
久々に履いてみると、すごくしっくりくる。
あれ、いいじゃないか。
雰囲気もいい。
出品する気がなくなった。
その靴とはこれ。




BOSTONIAN CROWN WINDSOR
何でこの靴をオークションに出したんだろう?
一時の気の迷いか?
魔が差したのか?
昨日はものすごく腹が立ったが、今考えれば、落札が没になってよかった。
何か、見えない大いなる力が働いたのかもしれない(笑)。
この靴は、私の手元に残るように仕向けられたのかもしれない(笑々)。
怪我の功名
そう考えると、むかっ腹もおさまり、まあまあいい気分になった。