90年続いた靴工房が今日で幕を閉じる。
靴業界では、一つの小さな会社がなくなるだけだが、
私にとっては大きい出来事。
ネット検索で偶然三交製靴を見つけたのは1年半ほど前。
それから工房への訪問、靴の購入・・・・東京でいい靴屋を見つけたと思っていたのに・・・・。


初めて手に入れたラギッドシューズ・・・・ペッカリー


2足目、シボ革プレーントゥ


3足目、のせモカ

工房を訪問したときは、素人にはなかなか拝めない”制作現場”を見、”現場の生の声”を聞くことができた。




決してきれいとは言えないが、手のぬくもりが感じられる現場だった。
大量生産や効率化の名のもとに、コストカットと機械化と品質の低下が進んでいる靴業界にあって、ここには失われた大切なものが残っている、と感じた。


下請けに徹し、地味な靴作りしかしてこなかったが、時代の波にもまれながらも伝統の技術を守り続けてきた。
優れた技術を持ちながら、それを売り物にせず、宣伝もせず、しかも法外な価格もつけず・・・・商売下手。

職人の高齢化、後継者不足など、現代日本の製造業が抱える影の部分も知った。
今の時代、こんな靴屋がいまだに残っているということ自体が貴重である。
なによりも、知名度はないが、素晴らしい靴がまだ日本には残っていることが嬉しかった。
この靴屋とこの靴を通して、自分の知識が深まり、見聞がおおいに広がった。
この靴屋からいろいろなことを学んだ気がする。
ありがとうと言いたい。
そしてさようなら。
なくなるのは残念である。
なくなってほしくないから、ブログでいろいろ紹介してきたようなもんだ。
多くの人々がこの靴屋を利用すれば、いつまでもこの靴屋は存続できるのではないか・・・・と。
自分の力が極めて微力であることはわかっているんだけど…・
結局、問題は売り上げや利益という側面ではなかったんだろう。
仕方がないでは済まされないが、自分ではどうしようもできなかったのが残念。
ただ、三交製靴がなくなってもラギッドシューズは残る。
全国で履いている人もたくさんいる。
私もこの靴を大切にしていきたい。
ありがとう、さようなら、三交製靴。

~~ 追 記 ~~
廃業して即ホームページも閉める。
余韻も残さない。潔すぎである。
本当になくなったんだなあ。
今日(5/22)はホームページが開けた。
ちょっとほっとした。
でも、更新されることはないんだよなあ。