私にとっての初めてのフルオーダー。

鹿児島のCITTA で作ったウィングチップ
2013年7月完成。


趣のある看板に従って山の中に入っていくと工房が見えてくる。

この工房での初めてのオーダーは、事前にデザインを全く考えずに臨んだ。




落ち着いた雰囲気のなかで、職人とじっくり談笑しながら(靴とは直接関係ない話も多かった)、くつのデザインや素材を決め、採寸を進めていった。

革は、油分を十分に含んだ国産のシボ革を選択。一目で気に入った。
ゲージ靴もサンプルシューズもなし。
全くのゼロからの靴づくり。
これで1回目は終了。
続いて2回目。
私の足に合わせて調整された木型が出来上がった。




初めての”マイラスト”。
それまで私が経験してきた注文靴は基本的にパターンオーダーで、私の足に合わせて木型に革を盛りつけて調整している。
だが今回は、盛り付けだけでなく、ラストを”削って”いる。
他の誰も使わない、私だけの木型。

そして、マイラストをもとにつくったフィッティング用の仮靴。


フィッティングの調整をし、最終的な確認をする。
これで2回目は終了。
この2回目が最も重要なプロセスだ。
そして完成。靴の受け取りと最終チェックのため、3回目の訪問。


革の押し出しが強いので、穴飾りは少し控えた。
底付けはステッチダウン。
もちろん手縫いによる底付けなので手間がかかる。
ステッチダウンにすることで価格を抑え、注文靴を身近なものにしようという取り組みなのだ。
マイラストは持ち帰り。
次に注文するときに必要となる。
トゥの形状を変えることもできる。
これが俺の足か~、と嬉しくなる。
完成までに3回の来訪が必要となったが、本格的なオーダーを経験することができた。
そう考えると、遠距離かつ交通の便の悪いこの工房へのドライブも苦にならない。

もちろん、靴の出来栄えにも満足。